相続などで東京都心に150坪の土地をお持ちの方の中には、土地を売却すべきか、それとも賃貸活用すべきか、迷っている方もいることでしょう。迷うことは当然ですが、東京一極集中のニーズを踏まえれば、土地を「収益を生む資産」に変える発想は現実的です。
本ページでは、150坪で想定できるアパート経営のイメージやメリット、収支シミュレーション、注意点などを整理しました。
150坪(約496㎡)の土地では、立地や用途地域により異なりますが、2~3階建てで10~20戸のアパート建設が可能になります。木造2階建てを選ぶと初期費用を抑制できるため、単身者向けの1K・ワンルームを多く配置する設計も可能。鉄骨造やRC造であれば、ファミリー向けの間取りも視野に入るでしょう。
建物規模については建ぺい率・容積率、斜線制限、接道条件によって決まるため、まず自治体の基準確認が必要です。建築会社にボリュームチェックと概算プランを依頼した上で、具体的な検討を進めていきましょう。
建築費は構造・階数・仕様によって大きく変動します。不動産情報サイト「HOME4U」によると、木造2~3階の坪単価が80~100万円、鉄骨造が90~120万円、RC造では100~120万円程度が目安。構造等による費用の違いがイメージできるでしょう。
これに加えて設計費・確認申請・登記・融資手数料、仮設工事・外構工事、地盤改良などの諸経費が数百万円単位で必要。自己資金を総投資額の2~3割程度とし、残りを融資で賄うのが一般的な流れです。仕様・構造を変えて複数の見積を取得し、返済計画への影響を慎重に確認していきましょう。
具体例として、木造2階建て・10戸、1戸あたり家賃7万円の想定で試算してみましょう。
仮に、建築費7,000万円、諸経費込みで総投資7,500万円とします。満室時の賃料収入は月70万円(年840万円)。表面利回りは約11%となります。
ただし、実際の運用では、管理委託費、共用電気代、点検・保険費用、原状回復費、固定資産税、AD・募集費、空室期間などを差し引いた実質利回りで判断しなければなりません。これらの要素を織り込むと、実質利回りはおおむね6~7%に落ち着くケースが多いと考えられます。
一棟で複数戸を運用するため、たとえ1室に空室が発生したとしても、他の賃料収入で一定程度カバーできる点が大きなメリット。東京では単身世帯や共働き世帯、転勤世帯の需要が安定しているため、仮に退去があっても、比較的次の入居を獲得しやすい傾向があります。
キャッシュフローの平準化を図りながら賃貸履歴を蓄積しておけば、将来の売却時、買主への説明材料にもなるでしょう。
更地で保有する場合と比べ、賃貸住宅として活用することで、「小規模住宅用地の特例」が適用され、固定資産税・都市計画税が大幅に軽減されます。
また、将来発生する相続において、現金で相続するよりもアパートの形で相続したほうが課税評価額が下がるため、相続税は大幅に減額されます。
ただし、アパートの評価額は個別事情により差があるため、具体的な節税効果については専門の税理士へ相談することが不可欠です。
150坪の更地を持ち続けても、その維持費の負担が続くだけ。これを賃貸住宅として稼働させれば収益不動産に生まれ変わることから、資産としての見え方が変わります。特に東京都心部では、土地単体よりも「過去の収益履歴と現在の収益がある物件」として、高く評価される可能性があるでしょう。
コストだけかかり続ける不動産(=更地)が、高い資産価値を持つ不動産(=アパート)に一変することは、アパート経営の大きなメリットです。
需要に適さない立地や間取り、賃料設定では、空室期間が長期化して収益を大きく圧迫しかねません。特に、単身者の多い東京では、駅からの距離や生活利便性、学区、オフィス・大学へのアクセス条件などで需要は大きく変動。供給過多の傾向があるワンルーム帯では、他物件との差別化が欠かせません。
設備やセキュリティシステム、ネット回線などの基本性能を確保するなど、運用面における工夫が必要です。
外壁や屋根の防水状況、給湯器や空調などの状態、共用部の照明設備など、アパート経営では経年による各種パーツの劣化が避けられません。特に築10~15年を経過した物件については、大規模修繕の検討も必要となる可能性があります。
また、日頃の管理面においても、清掃や点検、法定検査、入居者からの一時対応の委託費など、オーナーの負担になる項目は多々あります。イレギュラーな出費も踏まえつつ、慎重に収支計画を打ち立てて遂行する必要があるでしょう。
表面利回りのみで判断し、過度に仕様を上げたり借入額を増やしすぎたりすると、返済がキャッシュフローを圧迫する結果になりかねません。特に金利上昇局面では、家賃維持との両立が困難になる可能性もあります。
計画段階から綿密な市場調査を行い、稼働率や賃料、金利、修繕費などの前提を上下させながら複数の計画を比較して検討することが、過大投資にならないための重要なプロセスです。
駅徒歩10分圏、生活施設の充実、大学・病院・オフィスへの動線、夜間の明るさなど、候補地ごとの強みと弱みを洗い出しましょう。
単身向けアパートを計画する場合には、収納や水回り、ネット回線などを重視し、ファミリー向けアパートを計画する場合には、防音や宅配ボックス、駐輪場の容量などをよく検討しましょう。地域の賃貸動向を踏まえ、過不足のない仕様を選ぶ姿勢も重要です。
建築会社の選定では、構造ごとの実績、地盤・耐震・断熱の考え方、保証・点検体制・施工後のレスポンスなどを確認。設計・施工・管理・募集を一気通貫で担える体制は意思決定を素早くし、責任範囲も明確で信頼できます。
また管理会社の選定では、募集力と入居後対応を比較。複数社の提案を比較表にまとめ、費用だけでなく成果指標も伴いながら評価します。
金利状況や固定資産税評価の変動、更新や解約の季節性、設備の寿命に応じたコストなど、10~20年スパンでキャッシュフローを設計します。借換や繰上返済の条件も把握しておくと、金利変動局面の変化にも対応しやすくなるでしょう。
出口戦略(保有継続・部分建替・売却)の選択肢も、計画段階から意識することで軸がぶれにくくなります。
月極・時間貸しの駐車場、トランクルーム、店舗・事務所、戸建て賃貸など、アパート以外の土地活用の可能性も検討してみましょう。
複数の土地活用を比較検討する際には、初期投資の想定額や稼働の安定性予測、運営上のオーナーの負荷、収益シミュレーション、出口戦略の取りやすさなどを共通の物差しで比較します。
なお、150坪の土地は複合活用も可能なので、近隣需要次第では「駐車場×住居」のハイブリッド活用も有効なケースがあります。
「150坪でのアパート経営」には十分な可能性があることがお分かりいただけたでしょうか。用途地域・建ぺい率・容積率の制約を踏まえ、2~3階建てで10~20戸規模が現実的な範囲となります。
初期投資額は構造と仕様により変動。実質利回りは6~7%前後に収束しやすい傾向にある一方、空室・修繕・金利の影響で上下に振れることもあります。需要に適した間取りとエリア選定、信頼できる建築・管理体制の構築、長期収支計画の策定、他活用手段との比較という手順で検討を進めることが大切です。
投資目的で
アパート経営を
始めたい
引用元:シノケンプロデュース公式HP
https://www.shinoken.com/
所有する土地で
空室に困らない
アパートを建てたい
引用元:セレ コーポレーション公式HP
https://cel-corporation.co.jp/
※1 参照元:シノケンプロデュース公式HP(https://www.shinoken.jp/apart/)
※2 参照元:セレ コーポレーション公式HP(https://e-cel.jp/) 入居室数÷自社管理戸数
※3 参照元:青山物産公式HP(https://aoyama-chintaikanri.com/kanri/activity)
(2025年2月調査時点)